拈華微笑
ねんげみしょう / Nenge Mishō
拈華微笑(ねんげみしょう)の意味
意味
言葉を使わずに、心から心へと大切なものが伝わることをあらわす言葉です。釈尊が一輪の花をひねって示し、弟子の迦葉だけがその意味を悟って微笑んだ、という故事に由来します。
出典・由来
『無門関』第六則「世尊拈花」などに見える話で、霊鷲山での説法の場面とされます。釈尊は迦葉に「正法眼蔵、涅槃妙心」を託し、これが「不立文字・教外別伝」という禅の立場の象徴となりました。ただしこの故事は宋代の禅籍に現れるもので、インドの経典に確かな根拠があるわけではなく、中国で形づくられた伝承と考えられています。
悩みへの生かし方
人づきあいが苦手な人ほど、「うまく話さなければ」と自分を追い込みがちです。けれど、相手を思って黙って隣にいること、うなずくこと、表情を和らげることにも、言葉以上に伝わるものがあります。気の利いた一言が出てこなくても、それで関係が終わるわけではありません。 家族や同僚とのすれ違いでも、説明を重ねるほどこじれることがあります。そんなときは、言葉で相手を説得するより、相手が差し出しているもの、つまり表情やしぐさ、沈黙を受け取ろうとしてみてください。伝えることと同じくらい、受け取ることにも心が要るのだと、この言葉は静かに教えてくれます。
今日の小さな実践
今日、誰か一人の表情を、話の内容より先によく見てみましょう。そして言葉を添えずに、ただ穏やかに微笑み返してみてください。