体露金風
たいろきんぷう / Tairo Kinpū
体露金風(たいろきんぷう)の意味
意味
葉をすべて落とした木が、その幹と枝をありのまま秋風の中にさらしている姿を表す言葉です。「金風」は秋の風のこと。飾りや覆いがすべて取り払われたとき、そこに本来の姿がすっきりと現れる、という境地を示しています。
出典・由来
『碧巌録』第二十七則に収められた、唐末から五代の禅僧・雲門文偃の問答に由来します。ある僧が「樹が枯れ、葉が落ちたときはどうですか」と問うと、雲門は「体露金風(からだまるごと秋風に露わになる)」と答えました。五行説で秋は「金」にあたることから、秋風を金風と呼びます。
悩みへの生かし方
仕事を失ったとき、大切な人と別れたとき、肩書きや役割がなくなったとき、私たちは「葉が落ちた」ような心細さを感じます。何もかも失って、自分がむき出しになってしまったように思えるかもしれません。けれど雲門の答えは、その姿を嘆くものではありませんでした。葉が落ちたからこそ、木の幹や枝のかたちがはっきりと見える。失ったあとに残っているものもまた、まぎれもないあなた自身です。 無理に新しい葉を急いでつける必要はありません。冬の木は枯れているのではなく、ただ静かに立っています。喪失や変化のさなかにいるときは、「何が無くなったか」だけでなく、「それでもここに何が残っているか」に目を向けてみると、少し呼吸がしやすくなるかもしれません。
今日の小さな実践
窓を開けるか外に出て、風が肌に触れる感覚を一分だけ味わってみてください。そのあいだ、肩書きも予定も脇に置いて、ただ風の中に立っている自分を感じます。