放てば手に満てり
はなてばてにみてり / Hanateba Te ni Miteri
放てば手に満てり(はなてばてにみてり)の意味
意味
握りしめていた手を放すと、かえってその手は満たされる、という意味です。何かをつかもうとするほど手はふさがり、手放したときにこそ、すでにあふれているものを受け取れる。執着をゆるめたところに、本当の豊かさが現れることを示しています。
出典・由来
道元の『正法眼蔵』「弁道話」に見える言葉で、「放てば手にみてり、一多のきはならむや。かたればくちにみつ、縦横きはまりなし」と続きます。「弁道話」は寛喜3年(1231年)に書かれたとされます。仏の教えは一人ひとりに豊かにそなわっており、つかもうとせず手放すときに手に満ち、語れば口に満ちて限りがない、と坐禅の世界を説いた一節です。
悩みへの生かし方
仕事の成果、相手の気持ち、将来の安心。私たちは不安になるほど、何かを強く握りしめようとします。けれど、終わった恋や思いどおりにならない人間関係をつかみ続けると、手はそれだけでふさがり、目の前にある別の縁や、今日のささやかな喜びを受け取る余地がなくなってしまいます。 手放すことは、あきらめることや投げ出すことと同じではありません。「こうでなければ」という握りこぶしを少しゆるめるだけで、呼吸が深くなり、周りの人の言葉や景色が入ってくることがあります。失ったと感じるときこそ、空いた手のひらに何が触れているかに、静かに目を向けてみてください。
今日の小さな実践
両手をぎゅっと5秒握りしめ、ゆっくり開いて、手のひらに触れる空気の感覚を数呼吸のあいだ味わってみましょう。