八風吹不動
はっぷうふけどもどうぜず / Happū Fukedomo Dōzezu
八風吹不動(はっぷうふけどもどうぜず)の意味
意味
人の心を揺さぶる八つの風が吹いても、心は動じないという意味です。八風とは、利(うまくいく)・衰(落ち目になる)・毀(陰で悪く言われる)・誉(陰でほめられる)・称(面と向かってほめられる)・譏(面と向かってそしられる)・苦・楽の八つを指します。悪いことだけでなく、ほめ言葉や成功にも振り回されない心のあり方を表しています。
出典・由来
「八風」は仏教で古くから説かれる考え方で、人が逃れにくい八つの世間のならいを風にたとえたものです。「八風吹不動」という句そのものは禅の世界で広く用いられてきましたが、特定の一つの出典に定まるものではないとされます。宋代の文人・蘇東坡がこの句を詩に詠み、友人の禅僧・仏印に一言でからかわれて腹を立てた、という逸話がよく知られていますが、これは後世に語り伝えられた話とされています。
悩みへの生かし方
職場で上司に叱られた日、SNSで心ない言葉を見た日、心は大きく波立ちます。けれど同じように、ほめられた日や評価が上がった日にも、心は浮き立ち、次は落ちることを恐れ始めます。この言葉は、悪い風だけを防ごうとするのではなく、良い風も悪い風も「ただ吹いている風」として眺めてみることをすすめています。 動じないとは、何も感じないことではありません。悔しさや嬉しさが湧いても、それに自分のすべてを預けないということです。蘇東坡の逸話が語り継がれてきたのは、「動じない」と言った人ほど、ひと言で揺れてしまうものだからかもしれません。揺れたことに気づき、また戻ってくる。そのくり返しそのものが、静かな心を育てていきます。
今日の小さな実践
今日、心が揺れた出来事を一つ思い出し、それが八風のどれにあたるかを心の中で名づけてみてください。「これは毀の風だ」と名前をつけるだけで、少し距離が生まれます。