無念無想
むねんむそう / Munen Musō
無念無想(むねんむそう)の意味
意味
あれこれと思いをめぐらせる心から離れ、雑念にとらわれない澄んだ状態を表す言葉です。ただし、頭を空っぽにして何も感じないことではなく、浮かぶ思いにしがみつかず、流れるままにしておく心のあり方と受け取ると、禅の考え方に近くなります。
出典・由来
「無念無想」という四字の形は日本で広く使われてきた言い回しで、特定の禅籍にこのままの形で出典があるとは言いにくく、成立ははっきりしません。「無念」については、六祖慧能の教えを伝える『六祖壇経』に「無念を宗とする」という一節があり、そこでは思いを断ち切ることではなく、思いの中にあって思いにとらわれないことと説かれています。同じ『壇経』は、何も考えまいとして念を消し去ろうとすることを、かえって縛りになると戒めています。
悩みへの生かし方
仕事のミスや人の言葉が頭の中で何度も再生され、眠る前まで考え続けてしまう。そんなとき「考えるのをやめなければ」と力むほど、思いは強くなりがちです。無念無想は、思いを消す技術ではなく、思いが浮かんでも、それに乗って次々と物語を広げないこと。浮かんだら「浮かんだな」と気づき、手放す。その繰り返しで十分です。 不安や喪失の悲しみも、無理に追い払う必要はありません。空に雲が流れても空そのものは汚れないように、どんな思いが通り過ぎても、それを見ている静かな場所が自分の中にあると思い出すだけで、少し呼吸が楽になることがあります。
今日の小さな実践
1分だけ目を閉じて、浮かんだ考えに「考え」と心の中で名前をつけ、追いかけずに息を吐くことを繰り返してみてください。