至道無難
しいどうぶなん / Shidō Bunan
至道無難(しいどうぶなん)の意味
意味
最高の道(真理)は、本来むずかしいものではない、という意味です。続く句「唯嫌揀択(ただ揀択を嫌う)」とあわせて、好き嫌いで選り分け、えり好みする心さえ離れれば、道はそのまま明らかになる、と説かれます。
出典・由来
中国禅の古典『信心銘』の冒頭の句で、「至道無難、唯嫌揀択。但莫憎愛、洞然明白」と続きます。『信心銘』は伝統的に禅宗三祖・僧璨の作とされますが、作者については諸説あります。のちに趙州従諗がこの句を好んで取り上げ、『碧巌録』第二則「趙州至道無難」をはじめ、いくつかの則で問答の題材となっています。
悩みへの生かし方
職場で苦手な人がいる、思いどおりに進まない、将来が不安。そんなとき私たちは、「こうあるべき」「これは嫌だ」と心の中で物事を細かく選り分けています。その選り分けが強くなるほど、目の前の出来事そのものより、自分の判断に疲れてしまうことがあります。この言葉は、問題を消せとは言いません。ただ、好き嫌いの物差しを少し脇に置いてみると、状況が思ったより単純に見えることがある、と教えてくれます。 たとえば苦手な同僚の一言も、「嫌な人の嫌な言葉」と決めつける前に、ただ「こういう言葉が届いた」と受け取ってみる。不安な予定も、「失敗したらどうしよう」と評価する前に、「次にやることはこれ」と事実だけを見る。むずかしくしているのは、出来事ではなく、それを選り分ける心のほうかもしれません。
今日の小さな実践
今日一度、何かに「嫌だな」と感じた瞬間に、心の中で「いま、選り分けている」とつぶやき、ひと呼吸だけ判断を保留してみてください。