初心
しょしん / Shoshin
初心(しょしん)の意味
意味
初めて何かに向き合ったときの、まっさらで素直な心のことです。知っているつもりにならず、毎回はじめて出会うように物事を見る態度を指します。慣れや思い込みを手放したところに、新しい気づきが生まれるという意味が込められています。
出典・由来
道元の『弁道話』には「初心の弁道すなはち本証の全体なり」とあり、初心者の修行がそのまま悟りの全体であると説かれています。また『華厳経』の「初発心時便成正覚(初めて心を発した時に、すなわち正覚を成ず)」という言葉も、初心の尊さを示すものとしてよく引かれます。現代では、鈴木俊隆の英語の講話録『Zen Mind, Beginner's Mind』(1970年)を通じて、欧米にも広く知られるようになりました。なお「初心忘るべからず」は世阿弥の能楽論『花鏡』の言葉で、禅語とは系統が異なります。
悩みへの生かし方
仕事に慣れてくると、毎日が同じことの繰り返しに感じられ、やる気が出なくなることがあります。そんなとき「もう分かっている」という気持ちを少しだけ脇に置いて、いつもの作業を初日のように眺めてみてください。手順の意味、相手の表情、道具の手ざわりなど、見過ごしていたものが目に入ることがあります。 反対に、新しい環境に入ったばかりで「何も分からない自分」が情けなく感じられるときもあるでしょう。けれど分からないからこそ、素直に聞き、まっすぐに見ることができます。道元が初心の修行をそのまま尊いものと見たように、今の不慣れさは欠点ではなく、ひとつの大切な時期なのかもしれません。
今日の小さな実践
今日の決まった作業をひとつ選び、初めて見る人のつもりで、ゆっくり一度だけ行ってみてください。気づいたことをひとつ、心の中で言葉にしてみましょう。